【U18W杯】カナダの15年ドラフティーズ・スマックダウン

イメージ素材ソース:Flickr.com


前ポスト「U18W杯】アメリカメンバーで学ぶ1617年ドラフトクラス」では、カナダメンバーのレポについても「出来たらポストしようかな?」たる記述をした。が、ココで訂正しよう。カナダメンバー20人分のレポはキツイ。時間的なリソースもそうだが、情報ソース的にもレポ探しがキツイ。出来なくも無いのだが、28日(金)までに仕上げるとなると全くアップ出来る気がしない。

なワケで、本ブログではカナダメンバーのフルレポート作成からは無念の撤退を実施し、U18で来日する20人でも15年ドラフトクラス」に該当する打者3人に絞ってレポをアップすることを決定した。理由はシンプル、20人のレポはキツイが、3人のレポなら負担はグッと減るからだ。しかも、この3人のスカウティングレポはWebの海からザクザク出てくる。要するに「まとめるのが楽」なのでまとめる、というワケである(汗)

3人だけなのでレポは3行と言わず、本ポストでは3人を「オフェンス」「ディフェンス」「アップサイド」の3点で評価比べをする「スマックダウン(Smackdown)形式」で15年ドラフティーたちを紹介しよう。ちなみに同じ企画は大学3年末まで尽力していたサークル “Far East Division” で何本か書いていたが、3人のSmackdownに取り組むのは人生初である。

「初めて」とは何ともドキドキするモノだが、とりあえずチャレンジしてみよう。



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U18カナダ・スマックダウン:ジョシュ・ネイラー vs. デミ・オリモロイ vs. トリスタン・ポンペイ

NAMEジョシュ・ネイラーデミ・オリモロイトリスタン・ポンペイ
POS1BOFOF
DOB1997/06/221997/01/061997/03/23
TEAMMIAMILケンタッキー大
DRAFT#12#121#920

ジョシュ・ネイラー

デミ・オリモロイ

トリスタン・ポンペイ


  • オフェンス
トータルで評価するとほぼ同じレベルのオフェンススキルを示している。ココでの「トータル」とはバッティングに加え、ベースランニングのスキルも込みでプロスペクトのオフェンシブさをチェックしていることを意味するモノだ。攻・走の2点を合計すれば、3人は横に並んでいるとの見立てがドラフト(156月)時点における妥当な評価であっただろう。

では、3人を攻・走の各ポイントから評価してみよう。

まず「攻」単体の評価だが、ココはネイラーが1人ズバ抜けている。6-1/225のフレームは「デブ」と形容するに見合うモノであり、アスリート性も正直平凡なレベルに止まっている(MLB.comはネイラーのランニングスキルに対し20-80スケールで ”20” を付けた)。しかし、ネイラーのスゴさは彼のプロスペクトとしての評価が全てバッティングに詰まっている点にある。決して平均レベルを下回っているワケでは無いオリモロイ & ポンペイと比べられてもなお、ネイラーが左打席から示すパワー & バットスピードは傑出したモノだ。その証拠に彼は3年前の12年から既にエキシビションで450フィートの特大ホーマーをマークしており、14年のHS2年を対象としたホームランダービーでも広大なターゲット・フィールドのライト方向に場外ホーマーを叩き込んだ。ややプルヒッティングに固執するアプローチこそネックだが、プリンス・フィルダーTEX)レベルの打者に成り得るポテンシャルだけをウリに “Canadian Baseball Network” のプロスペクトランキングでは2人を差し置いてトップに立った。

オリモロイ & ポンペイも平均以上のバットスピードから広角に打球を放つことが出来るスキルがあるが、いずれもネイラーと同じくスキル面でソリッドさに欠くシーンが目立つ。特にオリモロイは野球のプレー歴自体が浅く、バッティングに限らずプレー全体のブラッシュアップが求められるタレントと言える。

一方で「走」だが、ネイラーについてはスカウティングスケール自体20止まりなワケである。トータルでの評価が最終的に同じレベルに収束するのはこの点が大きく、オリモロイ & ポンペイがポテンシャルも込みで上積みが見込めるのに対し、ネイラーにとってこの部分はマイナスポイントしか無い。この項目のスマックダウンは必然的にオリモロイ & ポンペイのみの比較になるだろう。

ツール単体で見ると、オリモロイはポンペイを上回るスピードを示している。オリモロイの良さはとにかく5ツール全体での「ダイナミックさ」に尽きる。元々ナイジェリア出身のOFであり、生後10ヶ月の時にカナダに移住したキャリアの持ち主。プレー経験の浅さたるネックを抱えながらもドラフト1巡目に見合うプロスペクトと評された理由はココにある。モノがバツグンに良いので、「打つ」「投げる」「走る」こと自体がとにかく映えるタイプのタレントだ。ポンペイも兄・ダルトンTOR)を上回ると評される5ツールの持ち主だが、オリモロイの将来像はヤシエル・プイグLAD)とロマンの溢れ方がハンパでは無い。

とは言え、ツールを扱いこなすスキルも込みで見れば現状ではポンペイの方が上であろう。オリモロイは家庭の教育方針もあり野球のプレー環境が整うまで一定のタイムロスを食らっており、ハイレベルな次元でのプレーは経験が足りていない。ポンペイもソリッドなタイプのプロスペクトでは無いが、オリモロイに比べればずっと豊富なプレー経験を有しており、そのアドバンテージ分のリードは得ることが出来ている。

以上を整理すると、「攻」「走」のランク付は


攻:ネイラー>ポンペイ>オリモロイ
走:ポンペイ>オリモロイ>ネイラー


15年時点ではオリモロイはとにかく粗削りであり、U18でも安定したパフォーマンスを示すことが出来るかには不安がある。ソリッドさで上回るポンペイ、バッティングたる確固たるウリがあるネイラーは彼の先を行くプロスペクトであろう。バランスのポンペイか、バッティングのネイラーかは各人の好みに左右される部分だが、パワフルな打者を気に入る傾向がある私はネイラーのプレミアクラスのパワーを信じることにしよう。


  • ディフェンス
ココも上で述べた(相対的な)ソリッドさの評価になるのだが、結論一番バリューを示すことが出来るのはポンペイだろう。フレーム & アスリート性から1B「しか出来ない」とすら評されるネイラーは語る必要が無く、オリモロイは上述の通りプレー経験の乏しさにネックがある。

OFディフェンスは生来のアスリート性に加え、それをいかに打球反応・ルート取り(打を追うルートをいかにシンプルにするか)につなげられるかを左右するスキル面の双方が必要だ。オリモロイには後者が絶対的に足りないのが現状であり、現在彼はマイナー(R)でのプレーを通じてそれを吸収している過程に身を置いている。ポンペイのソリッドさ自体も「プラスのスピードがあるのでCFも出来るかも?」レベルと決して大したモノでは無いが、あくまでも比較の上ではオリモロイよりずっとソリッドである。

オリモロイ & ポンペイはいずれもCFとしてプレー出来るだけのツールがあり、その点ではディフェンス面のポテンシャルは双方ハイレベルだ。差を生み出している要因は経験さに基づくスキル面だけなので、2人の差はあくまでごくごく小さいモノに止まっている。


守:ポンペイ>オリモロイ>ネイラー


  • アップサイド
アップサイドはオリモロイのフィールドだ。5ツールのクオリティはズバ抜けており、少しでもプレーのコツさえ抑えればメジャー全体でも有数のバリューを生み出すことが出来るハズだ。現状がスキルの乏しさに苦しんでいるだけに、成長を辿った時の上がりっぷりは他2人の追随を許さないだろう。

ポンペイもダイナミックさでは劣るが、バランスの良いリードオフタイプのOFに成長が出来るタレントだ。彼はMINからのドラフトを拒否しケンタッキー大でのプレーを16年からスタートするが、カレッジでのプレーでスキル面を成熟させることが長期的なキャリア形成における大きなカギとなるだろう。

ネイラーは走・守両点での成長を見込みたいタイプでは無いので、バッティングのアプローチをいかに向上させるかがポイントだ。特に現状ではボールゾーンに外れる変化球を追いかけてしまう落ち着きの無いバッティングも目立ち、いかにボールを絞り、自らでストライクゾーンをコントロール出来るかが彼にとってのアップサイドとなる。既にコンスタントなコンタクトを生み出すだけのバットコントロールは有しており、ココからのキャリアはバッティングをいかに揺るぎなき一芸にまで昇華出来るかに注目が集まるだろう。

アップサイド:オリモロイ>ポンペイ>ネイラー



  • コンクルージョン
この3点をチェックした上で誰がお気に入りかなー?と自分なりに考えてみたが、私のチョイスはオリモロイだ。私は基本ソリッドなタレントがお気に入りだが、HS出身のプロスペクトに投資をするケースに限定するならば、ソリッドさよりもロマンを追い求めたい。それはソリッドさがカレッジプロスペクトの領域であり、HSにはHSで独自のバリューを出せないならばドラフトにおいて投資する価値が無いと持論に支えられた視点である。

ポンペイ & ネイラーにも2人独自のバリューがあり、それが大きな魅力であることはハッキリしているが、オリモロイのダイナミックさは相当なモノである。本当にプイグになるかは正直(それも分も悪めな)ギャンブルになるだろう。しかし一方で、このギャンブルには賭ける価値が大いにあるのも明らかである。それこそドラフト4巡目の投資でプイグが得られるならばなおさらである。

と、ココまで書いてみたが、U18のプレーを見てからこの印象も変わるかもしれない。そういった期待感も含めて、8月末の大会を生で見れる日が本当に楽しみな今日この頃であった。

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